2011-12-25

米国での割当雇用率制度導入の動き

米国では、2011年12月9日から2012年2月7日の予定で、障害者雇用の改善に向けた新しいルールに対するパブリックコメントが求められています。たくさんのコメントが出るでしょうから、このままということは無いと思いますが、画期的な動きですので、そのハイライト部分の幾つかを紹介してみたいと思います。
  • Utilization Goals:
    7%という雇用率が示されています。米国政府とビジネスをする企業にこれを求めるものです。留意すべき点は、通常、割当雇用率の表現で使われる quota という単語が使われていないことです。むしろ本文中では quota では無いとまで書いてあります。雇用率を割り当てるというのは、機会均等の考えに反するというのがその理由のようです。

    参考 p.50 A utilization goal is neither a hiring quota, nor a restrictive hiring ceiling. Rather, it is an equal employment opportunity objective, and an important tool for measuring the contractor’s progress toward equal employment opportunity and assessing where barriers to equal employment opportunity remain.
  • Data collection:
    全ての社員に対して、雇用前・雇用後に自己申告により障害の有無を把握することを求めています。就労する者は、ここで申告をしておかないと、あとで障害を理由に様々なアクションを取ることができなくなります。雇用後は年に一度再確認することが求められています。本文の中では、これにかかる時間はたったの5分であると説明されています。 self-identification については、ネットで "self-identification form" で検索すれば、現在使われているものなど見つけることができます。これまでは企業によっては任意であったり、サンプル調査だけの実施だったようです。
  • Record-Keeping:
    障害を持つ社員の役職と数を記録することを求めています。(5年間) なぜ役職まで?と思ったのですが、将来、一般の社員との雇用状況の比較をする目的があるようです。
  • Accommodation Requests:
    雇用する際には、その人に必要な就労環境の整備を計画することが求められています。reasonable accommodation という言葉が頻繁に出てきます。何をもって妥当であるのか、相当気を遣っているようです。
  • Outreach:
    米国における三つのタイプの就労を支援する組織との連携が求められています。(例:local State Vocational Rehabilitation Agency, Employer Assistance and Resource Network (EARN), Employer Resources section of the National Resource Directory…) この項目の達成具合は、OFCCPが制裁を科すとなった時のベンチマークの一つとなるようです。
  • Job Listings:
    One-Stop Career Center (日本で言うハローワークのようなところ?) を通じて、あるいは適切な機関を通して、採用募集の職種の一覧を提供する必要があります。
  • Annual Reviews:
    身体および精神の障害者に対して、年に一度の見直しをすることが求められています。
  • ADAAA Updates:
    2008年の ADA Amendments Act (ADAAA) に従うことが求められています。


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